みんなCM音楽を歌っていた―大森昭男ともうひとつのJ‐POP その2

大瀧詠一師匠の対談目的で衝動買いしたこの本、かなりの運命的出会いの本だったかもしれません。CM音楽の本だから当然ですが、大瀧さんのCMのお仕事関連まとめて知ることが出来ました。いくつかの既に知っているエピソードに加えて今回初めてしったエピソードも沢山でした。
Niagara CM Special Vol.1 3rd Issue」で初めて解禁された、それまでお蔵入りとなっていた79年版の幻の曲「Cider 79 (サンシャイン・ガール)」のエピソードとかCM Special30周年リマスタが出たと時には長らく未発表で有った曲がやっとボーナストラックで聴けたとしか思いませんでしたが、ロンバケとの運命的な繋がりがあったのですね。

この「サイダー’79」にはもっとすごい話があるんですよ。この時、モデルに予定されていたブルック・シールズが使えないというんで、オリジナルも作る必要がなくなってお蔵入りになったんですけど、日本語詞ついていて伊藤アキラさんが書いているのだけど、タイトルを聞いてくださいよ。「透明ガール」って言うんですよ。分かります?81年に出る「A LONG VACATION」の一曲目は「君は天然色」ですよね。あの中で”色をつけてくれカラーガール”って歌ってるでしょ。”天然色ガール”なんですよ。お蔵になったのは「透明ガール」ですよ。これは当然松本(隆)は知らないわけです。僕と彼は長年没交渉でしたし、片方はボツ曲ですから。誰もしらないんですよ。だから、松本が書いてきた”君は天然色 色をつけてくれカラーガール、天然色ガール”って詞を見た時にびっくりしましたよ。「透明ガール」は、こういうことのためにお蔵になったのかと思った

ブルック・シールズのサイダーCM観たかったですね。この他にも、ナイアガラゆかりの方々が各章に登場しています。気になりの人をあげると、伊藤アキラ井上鑑矢野顕子大貫妙子などなど。この本、発売時まったく気がつかなかったのですが、ほぼ日で三木鶏郎トリビュートで盛り上がって時期と連動しての企画のようですね。鈴木慶一さんが参加したトリビュートコンサートのことも書いてありました。
一般的にはCMソング第一号は三木鶏郎氏の「僕はアマチュアカメラマン」が定説であり、これが放送された9月7日は「CMソングの日」とされてまでいるのに、事実はこの民間放送開始の同じ年1952年9月3日塩野義提供の「ペンギンタイム」で放送された「ペンギンの歌」のほうが事実関係でいうと早かったようです。「僕はアマチュアカメラマン」の方はその後の三木鶏郎名声とともに雪だるま式にCM1号となってしまったようです。
まあ、そもそも、CMの定義から始めたら、服部良一が作曲した精工舎の時報メロディーはどうだとか、放送に関係ないレベルでのCMソング第一号である「カチューシャの唄」などとなってしまいますけどね。


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みんなCM音楽を歌っていた―大森昭男ともうひとつのJ‐POP
発売元: スタジオジブリ
価格: ¥ 1,995
発売日: 2007/08
売上ランキング: 383949
おすすめ度 5.0