穴
さて、だいぶ前にレンタルしていて観ていなかったこの作品。レンタルの時はパッケージでほとんど衝動レンタルでした。前回の「月曜のユカ」に続き時代はさらにさかのぼり50年代の映画です。「月曜のユカ」との繋がりは、北林谷栄(ニッポンのおばあちゃん)さんがどちらもいい感じで脇役で出ているところでしょうか。ジャケ借りなので、事前の情報が全くなく先入観なしの状態で鑑賞することができました。この映画、後の角川映画「犬神家の一族」などでも有名な市川崑監督作品だったのでした。当時の風俗目当てでどんな内容でもいいやと思って借りましたが、内容がけっこう本格的なトリックに凝ったミステリーものでした。主演の京マチ子さんはこの時既にかなりキャリアを積まれた後の作品ですね。
ストーリーのテンポもよく、様々トリックが仕掛けられていて、この世界に惹きこまれてしまいました。たしかにトリックもよく出来ているのですが、全体のテンポ感とコミカルな演出が素晴らしかったです。あまり語られることもこの作品、確かに大傑作というほどでは無いかも知れませんが、地味に楽しい映画でした(なんのこっちゃ)。
それから、オシャレ度ですが、パッケージの京マチ子さんイメージと音楽の芥川也寸志さんでそこそこいい感じでした(パッケージほどではありませんでしたけどね)。しかし、なんといっても一番のネタは、若かりし頃の石原慎太郎さんが若手作家役で出演しているといったところでしょうか。このバッシング時期に面白いものを見させていただきました。このころの慎太郎さんならこの少年健全育成条例をどう思ったでしょうね。この映画の中ではわがまま風な若手作家で歌まで披露してくれています。