ハルメンズ / 昆虫群

先日購入したハルメンズの「近代体操+8」のライナーを読んでいての発見です。田中雄二さんのライナー「再考・ハルメンズの音楽性」において、ハルメンズが海外で評価されていた下りが説明されている部分で、ウイリアム・ギブスンが「昆虫群」を聞いていたかもという説を知り興奮してしまいました。ギブスンといえば80年代SF小説の世界で大ブームを起こしたサイバー・パンクの生みの親的存在。電脳空間的というかマトリクス的というその後の映画を含むSF界に影響を与えたムーブメントでした。80年代前半という時代の雰囲気はやはり凄いものがあったなと思います。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」から始まる世界に日本が交差してゆく時代。誤解されながらも海外に同時代の日本の文化が紹介され始めた頃でも有ったように思います。YMOを中心に、音楽シーンの中心では無かったも知れませんが80年代初頭から確実に日本のニューウェーブ系ミュージシャンが活躍していたように記憶しています。
ハルメンズの世界観は確かにサイバーパンク的な物を感じる作品が多いように思います。

  • 初音ミク】 昆虫軍 【初音ミクsingsハルメンズ
    ここでは、ミク版で。確かにミクが似合うけど、オリジナルもカッコいいよね。解説するのの野暮ですが、当然、通勤リーマンの群衆と昆虫群を掛けているわけですが、サイバーな感じですね。ちなみに「群」がオリジナルで戸川純ちゃんバージョンから「軍」なのですね。サエキさんのこの詞は、千葉の湾岸の団地から出てきてバスに向かって歩く、大量のサラリーマンの群衆に触発されたそうです。

イリアム・ギブスンの作品にして、サイバーパンクの代表作でもある「ニューロマンサー」という小説にはチバ・シティーという未来の千葉近郊の風景が描かれています。この世界は映画のブレードランナー的無国籍なアジアチックな日本でもあり、海外のSF小生が日本を舞台に話を展開し、そこに出てくるのはTOKYOではなくCHIBAである事が当時も凄く新鮮に感じたものです。

  • パール兄弟野宮真貴 - TRON
    そしてこの曲は、サエキさんからギブスンへのお返しのような曲でもあります。サイバーパンクに代表されるような電脳空間といえば、やはり80年初頭話題になったディズニー映画「トロン」というものが有りました。この時点でのCGは素晴らしかった(最近リメイク版が公開されるようですね)。それと、先程の「ニューロマンサー」に出てくるチバ・シティで歌詞の世界が構成されています。

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