帰って来たヨッパライ

この映画に関しては前情報全くなしの状態で観ました。大島監督の作品を全て見ているわけでも無いので、この当時の作品では漫画好きな私としては「青春残酷物語」「忍者武芸帳」くらいしかしらないので、昨年、加藤和彦氏が亡くなって過去の作品の見直しなどを行ったと時に、この作品の存在を初めて知りました。大島作品だしフォーク・クルセイダーズ自身が出演していることもあり一度は見てみたいなと思っていました。主演級で出演しているとはいえ、この映画は加藤和彦氏の関連した作品とはカウントされることはないのでしょうね。基本的に当時の素人学生そのもの演技で出演してますからね。ソレを素材として扱った大島渚監督の想像作品ですね(まあ、監督なんだから当たり前か)。
タイトルでもあるヒット曲「帰って来たヨッパライ」をモチーフにした本人達も出演のおちゃらけ映画かなとも思ったのですが、そこは大島作品そんな単純では有りませんでした。はっきり言って相当思い込み持って考えないと、この映画のとタイトルの関連性の理解は難しいのではないでしょうか?(少なくとも私にはそうでした)。ストリーの流れも直線的でなく螺旋的構造で凝ってます。まさに日本のヌーベルバーグ大島監督。そして全体を流れるテーマは韓国と日本の民族問題とかなり政治色が強くて、基本的にその辺の認識が甘い私にはちょっと難しいかも。劇中に「イムジン河」も使われていますしね。特に当時の朝鮮戦争からベトナム戦争まで絡んだ独特の日米韓の関連を理解(理解とまで行かなくてもその時代を共有しているレベル)が必要そうです。
とはいっても、若かりし頃の加藤和彦北山修のぎこちない演技を見るもの今の時点で鑑賞としては面白いですね。また、脇を固める大島作品には常連の佐藤慶殿山泰司小松方正渡辺文雄さんたちがいい味出してます。紅一点の緑魔子さんもいかにもこの時代の人という雰囲気が良かったです。もちろん監督自身のカメオ出演有ったりして。このような本質的でないところで楽しんでしまいました。映画そのもの評価としては正直ちと厳しく5段階評価中3点といったところでしょうかね。

映画予告編

今回、これを機に大島作品をまた観てみたくなりました。我らが教授出演の「戦場のメリークリスマス」はもちろんのこと、個人的には栗田ひろみ主演の「夏の妹」が観てみたいです。

帰って来たヨッパライ [DVD]
発売元: 松竹ホームビデオ
発売日: 2008/08/27
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