PANTA スウィート路線論争

私に影響を与えた和モノロック3大アーティストは、「大滝詠一」「近田春夫」そしてもう一人は「YMO」ではなく、「PANTA」なのでありました。10代の多感な時にパンクロックとほぼ同時期に頭脳警察を知りました(やや後追いですが)。パンタといえば頭脳警察を代表とする過激なイメージが好きで大ファンになったのですが、その後のソロ時代、PANTA&HAL、とほぼ完璧にフォローし続けて行ったとき、自分自身もある程度大人になり、ただ過激なだけのパンクを経て、YMOの洗礼後、歌謡曲を含むニューウェーブ的なものが好きになりました。その頃には、近田春夫の影響もあってジャンルにこだわること無くフラット感覚で音楽を楽しむようになっていました。そんなころPANTAがだしたアルバムがこのKISSです。

KISS
アーチスト: PANTA
発売元: インディーズ・メーカー
価格: ¥ 2,375 (5% OFF)
発売日: 2007/08/08
売上ランキング: 188812
おすすめ度 5.0

このアルバムは全曲ものすごいポップな仕上がりとなっていて、頭脳警察時代のPANTAを完全に封印しています。しかし、今までのファンからはかなり批判的に受け入れられて、PANTA頭脳警察時代へ戻れというスウィート路線論争なるものがミュージック・マガジン平岡正明氏「パンタ、もとにもどれ」という記事中心に起こりました。このとき、既に歌謡曲がカッコいいと思っていた私は、その時のPANTAの姿勢こそが反動的でありカッコいいと思ったのでした。このアルバム発売以前から、実はPANTAは優秀なメロディーメーカーであり、詞の世界とは関係なくけっこうポップなメロディを造っていたのでした。アルバム「KISS」では作詞を橋本治佐藤奈々子鈴木博文などに、またアレンジ全般を矢野誠にゆだね。作曲に専念したと言われています。このアルバムが好きな理由な一つに当時少女マンガに夢中でしたので、当時「花咲く乙女たちのキンピラゴボウ」という少女マンガ論を書いていた橋本治のファンである事も影響しています。

1. 悲しみよようこそ,
作詞:中村治雄・橋本治/作曲:中村治雄

2. 涙にさようなら,
3. ひとりぼっちのモーニング,
4. ラジオと貝殻,
5. 霧の中の恋人たち,
6. 裸足のボニータ,
作詞:佐藤奈々子/作曲:中村治雄

7. 恋のクレセント・ムーン,
作詞:橋本治/作曲:中村治雄、もろ恋あせビートのお気に入り曲です

8. 真夜中のパーキング・ロット,
9. 涙のサンセット,
10. 想い出のラブ・ソング

スウィート路線第2弾、「唇にスパーク」。こちらでは、作詞を自分でやております。また、この中の「レーザー・ショック」は当時トヨタのCMとタイアップでしたので、彼の曲の中では一番普通の人に聞かれた曲なのではないでしょうか。結局これを最後に、PANTAは今まで以上に過激な世界へ進んで行く事になってしまうのでした。

唇にスパーク
アーチスト: PANTA
発売元: インディーズ・メーカー
価格: ¥ 2,375 (5% OFF)
発売日: 2007/08/08
売上ランキング: 111129
おすすめ度 5.0

1982 TOYOTA VISTA CM

1. P-WAVE,
2. Hipにストライク,
3. レーザー・ショック,
作詞:中村治雄、作曲:中村治雄

4. アイススティックにオレンジ・マーマレイド,
5. 渚にて,
6. 双子座にジェラシー,
7. Doggie Moggie Boogie Woogie,
8. キミに帰りたい,
9. 想い出のスノー・キャンドル,
10. 君かげらふも

彼のポップ魂は他者への提供曲でも大活躍。最近ではアイドルユニット「制服向上委員会」などの音楽を担当しています。メインの頭脳警察系の過激さとうまくバランスを取っているようですね。

  • 「ムーンライト・サーファー」石川セリ
    作詞・作曲:中村治雄 編曲:矢野 誠
  • Vacance 岩崎良美
    作詞:青木茗(金井夕子)/作曲:パンタ/編曲:清水信之