トラックナンバー

我々の業界のソフトウェア開発にプロジェクトに限らず、そのプロジェクトに関わっている人に依存してしまう場合がほとんだと思います。工場での物理的なもの作りでないので人間系による依存は仕方の無いことであるのでしょう。そこで、ソフトウェア開発の世界では、プロジェクトメンバー構成のリスク管理指標の一つに「トラックナンバー」というのもがあります。その定義は

トラックナンバーとはトラックに轢かれるとプロジェクトの遂行が困難になる最少の人数

となります。典型的なカリスマ構成員一人の力で成り立っているプロジェクトではトラックナンバーが「1」となりプロジェクトが持つリスクは高まります。この数値は、プロジェクトメンバーがトラックに轢かれるという悲劇的なことをことを例としていますが、それに変わる指標としてハネームーンナンバーというものもあります。この定義は

チームのメンバーが順にハネムーンに旅立って行くパターンを全て考え、 何人目でプロジェクトが停止してしまうかの平均値

となります。こちらはハッピーな例であり、私自身も過去のプロジェクトに置いて主力メンバーがハネムーンでいなくなる状況を乗り切った経験があります。いくら忙しくてもハネムーンに行くなとは言えませんからね。この二つの指標はどちらも少し現実味が薄いように感じていました。ところが、最近のインフルエンザの流行により、インフルエンザナンバーというものが存在しこれはかなり現実味があるリスクであると思えます。プロジェクトメンバーの何人がインフルエンザにかかるとプロジェクトが破綻するかという観点でリスク管理が必要ですね。重要な情報は常にメンバー間で共有する事は大前提であることに加えて、リーダー自身が倒れる可能性もあるので、プロジェクトの目的とか各メンバーが独自に判断をする事が出来るような価値感の共有も必要になってきます。
経営層はどうしても、人件費の節約で最小人数で構成しようとしますが、メンバーのひとりひとりが100%以上でフル稼働するようではリスクに対して非常に弱いといえるでしょう。作業品質にも影響が出てくるはずです。物事をうまく制御してゆくには、車の運転でのハンドルの「あそび」同様な役割の「Slack」が必要となることも多いと思います。


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