デミングの14の原則

デミングといえば、製造業最強の「Japan as No.1」時代に頂点を迎えた日本の品質管理の神様みたいな人ですね。以前、私は製造業に関わっていたこともありその品質管理の基本はわかっているつもりでした。しかし、デミング本質までは理解していなかったことに気づかされました。それは、このデミングの14の原則をして新たな発見がありました。

  1. 競争力を保つため、製品やサービスの向上を常に心がける環境を作る。最高経営者がその責任者を決める。
  2. 新しい哲学を採用する。我々は新たな経済時代にいる。遅延、間違い、材料の欠陥、作業の欠陥などの一般常識となっている水準には満足できない。
  3. 全品検査への依存を止める。品質は統計的手法で向上させる(完成後に欠陥を見つけるのではなく、欠陥を防止せよ)。
  4. 価格だけに基づいて業者を選定することを止める。価格と品質によって選定する。統計的手法に基づく品質保証のできない業者は排除していく。
  5. 問題を見逃さない。全体(設計、受け入れ材料、製造、保守、改良、トレーニング、監視、再教育)を継続的に向上させるのがマネジメントの役割である。
  6. OJTの手法を導入する。
  7. 職場のリーダーは単に数値ではなく品質で評価せよ。それによって自動的に生産性も向上する。マネジメントは、職場のリーダーから様々な障害(固有の欠陥、保守不足の機械、貧弱なツール、あいまいな作業定義など)について報告を受けたら、迅速に対応できるよう準備しておかなければならない。
  8. 社員全員が会社のために効果的に作業できるよう、不安を取り除く。
  9. 部門間の障壁を取り除く。研究、設計、販売、製造の各部門の人々は様々な問題に一丸となって対応しなければならない。
  10. 数値目標を排除する。新たな手法も提供せずに生産性の向上だけをノルマとしない。
  11. 数値割り当てを規定する作業標準を排除する。
  12. 時間給作業員から技量のプライドを奪わない。
  13. 強健な教育プログラムを実施する。
  14. 最高経営陣の中で、上記13ポイントを徹底させる構造を構築する。
W・エドワーズ・デミング - Wikipedia

製造業における品質向上の科学的な考え方ばかりですなく、あくまでも人間を大切にする思想に満ちていますね。11項の数値目標やノルマの廃止とか、12項のプライド重視(実はこの項固定給者には毎年の査定を廃止するように言ってます)とかまさにアジャイル開発と通じるものがありますね。実際日本の社会で目標管理や査定廃止は受入ことは難しいように思えます。でも、世界に進出している日本企業はこのへんもうまくマネージメントできているんですよね(少なくとも80年代までは)。