「ケント・ベックセミナー(AGILE フォーラム 2006)」行ってきました

感想めも

  • 「Trends in Agile Development」

米国 アジター社 フェロー ケント・ベック
4年ぶりの来日です。4年前には、トヨタ生産方式アジャイルの関連についての話でしたが、今では、リーンソフトウェア開発やみえる化など、かなり広まってきています。そのように、数年前とは、ソフトウェア開発を取り巻く社会が大きく変わってきていることをあげ、最近のアジャイル開発に関してのテクニカル以外の人間系のお話が中心でした。ビジネスのトレンドが、「Accountability」「Responsibility」「Trustworthiness」「Relationships」になってきているということを中心に、そのような社会状況のなかでどのように開発を進めて行けばよいのかなどの話しがありました。企業の社会的責務が重要というくだりではライブドアの件なども説明にいれて日本の状況も織り交ぜのプレゼンでした。また、米国のCIO 100賞を受賞した企業「Lite&Co.」がXPを導入しているなど、先日3分間スピーチ話した「スモールビジネス」的な会社が活躍してきているといった話もありました(わたしが勝手に関連付けているだけ?)。さらに、最近のプログラマは、コンピュータテクノロジーが特別なものでないことが前提としての社会的地位にあるといような話も面白く聞くことが出来ました。
全体として、アジャイル開発には、社会的スキルを身に付けることが重要であるという考え方が強く伝わってきました。

  • 「ビジネスシ−ンに於けるAgile開発の手法と管理」

株式会社イーシー・ワン
代表取締役社長 最首 英裕 氏
開発本部コンサルティング部 部長 徳田 研一 氏
今回のフォーラムのメインであるところのJava単体テスト自動化ソリューション「Agitator」の販売会社PRセッション。Java技術を中心としたコンサルタントやシステム開発の会社。開発の生産性や品質向上のために「Agitator」を利用また販売している。自社のかかわったアジャイル開発の事例紹介がありました。上流工程への導入例で、実装はウォータフォールという例でした。どこかで聞いたことがある事例であると思ったら、日経コンピュータ(7/24)の検証フェーズをアジャイルでの事例でした。そこでもかいたけど、ばりばりのアジャイル例というわけでなく、ウォータフォールも利用した大手企業受けしやすい事例のように思いました。
最後にこの会社ビジネスモデル「開発費のいらない受託開発」は、ソフトウェアプロダクトの真の価値にかかわる最近の考え方が強く反映した方法で非常に興味深く思いました。人月ビジネスからの脱却を本気で考えているんだなとうらやましく思いました。

  • 「自動化テストツール活用による品質の向上」

株式会社テンアートニ   山崎 靖之 氏
反復開発やそれに伴う回帰テストの重要性などの教科書的説明がコンパクトにまとめられていました。自社データによる回帰試験を行った場合の試験コストが自動化されることにより改善される説明は説得力がありました。後半は「Agitator」製品特徴説明。PRセッションとしては、製品説明が省略されてわかりづらかったかもしれません。

  • 「TGINETにおけるレガシーシステム及び新規開発への導入事例」

株式会社ティージー情報ネットワーク 上田 志雄 氏
東京ガス子会社のなまなましい導入事例。単体試験そのものがうまく行なわれていなかった組織への導入経過がわかりやすく説明されていました。Junitだけではなかなか完全な漏れない単体テストが行ないにくいのは実感としてありましたの、「Agitator」によるメリットが良く理解できました。興味深かったのは、単体試験をツールを利用してしっかり行うと、ツールの機能で全体のカバレッジなどがグラフィカルに表示されて進捗状況のリアルな把握が可能になったということです。実際にすでに稼動しているシステムに適用してみて改造時の注意点を明確にしたりと、このツールの実際の利用者からの立場での事例は非常にわかりやすいものでした。

  • 配布物:

講演資料の冊子
タイアップ企業のパンフレット
「Agitator」資料
イアホン(Agitar社ノベルティー)
ドリンク(JAVA TEA)

  • 所 感:

アジャイル関連のセミナーではかなり、ビジネス色が強いセミナーでした。というか、前回のファウラー氏のセミナーもそうでした。今回ケント・ベック氏が言うようにアジャイル開発は数年前のわけのわからない開発手法から確実に世の中の主流の開発手法になってきているように思いました。その存在を早くから知ってはいても実践が伴えない私自身の状況が情けなく思えてきました。アジャイル開発はキャズムをこえたのでしょうか?

  • 関連リンク

http://www.javaworld.jp/event/agile2006/
単体テスト効率化ソリューション Agitar
Agitar Software
http://www.tg-inet.co.jp/