KYT(危険予知トレーニング)

最近ここ2・3年まえから、ソフトウェア開発にトヨタの生産方式をソフトウェアに取り入れる動きがあります。そのなかで、もっともよく、目にするのは、「オブジェクト倶楽部」の平鍋さんの翻訳や文章でしょう。最近の「オブジェクト倶楽部」のイベントでのプロジェクトファシリテーション(PF)の話の中でも「見える化」の話のなかで、製造業で良く行なわれる手法(朝会やあんどん)をソフトウェア開発に当てはめた説明がされていました。ここでは
リスク管理の手法として紹介されていました。
私自身、製造業に勤務していた時代に、工場研修で毎朝やらされました。そのときは「KY(危険予知)ミーティング」ではなく「KY(危険予知)トレーニング」とよばれ、リスク管理ではあるのですが、実際に当日や直近に作業する具体的な危険を周知するというより、現場作業での一般的な危険にはどのようなものがあるかを、1枚の絵をもとに朝礼出席者に一人一人が自分の発想でそこに潜む危険を挙げてゆくといった物でした。わたしは、そのネーミングがなんとなく、当時、ダサく思えて、その活動までも、意味あるものにはあまり思えませんでした。その他5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)とか、でも理屈で考えちゃだめなんですよね。慣れの問題ですね。毎日、朝、当たり前だと思っているような事柄でも、みんなでこれは危険だとかいいあっていると本当にそのような状況に遭遇したときに思考せず行動に移せる物だと言うことが、今にして見れば良く分かります。
ソフトウェアの障害はほとんどヒューマンエラーです。したがってこのKYTはシステム構築の上でのリスク管理に相当します。また、前述のミーティングとトレーニングの違いですが、トレーニングの方は、リファクタリングの「不吉な匂い」をかぎ当てる練習に相当することでもあるように思います。